第 3 学 年  歯科補綴学総論
後 期 計 画 表

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教科の特徴
補綴処置は歯科医療の最終段階であり、顎口腔系のリハビリテーションを担当し、失われた口腔の諸機能の回復・改善をはかることで、咬合の維持・安定を確立することを目的としている。
 顎口腔系器官は、生命維持に必要な食品の摂取や消化の第一歩となる咀嚼を担う器官であり、咬合を中心として多数の組織・器官が組み合わさり協調することで機能が発揮される。また顎口腔系器官のうち、口腔は呼吸器の終末端に位置する発音器官であり、歯列は外観に直接ふれ顔貌や表情にも影響を与えるなど社会生活を営む上での重要なコミュニケーションの手段となっている。これらの正常な状態を理解することで臨床家として遭遇する病的な状態の把握が可能となる。
 顎口腔系疾患の多くは、病巣が治癒したとしても失われた機能・形態は自力で回復することができない。そのため補綴処置を行い、それらを人工的に回復することが必要となる。補綴処置を大別すると咀嚼圧を残存歯の歯根膜に負担させる方法、顎堤の粘膜に負担させる方法と顎骨に負担させる方法の3通りがあり、前者にはクラウンおよびブリッジが属し、中者には総義歯および局部床義歯が、後者にはデンタルインプラントが属している。これらの補綴装置は、口腔内に装着された時点で患者の生体の一部となり、機能を発揮せねばならない。
 補綴処置は歯科医療における重要な一分野であり、その理論となる歯科補綴学は内容が多岐にわたる。また、医学・歯科医学を統合的に理解して全人的な歯科医療を提供するために必要な基礎的な知識の根幹となる。そのため本教科を通じて基本的事項を把握することが習得の第一歩となる。それとともに、医療人として高い倫理性や人間性・協調性を醸成するために、能動的学修を取り入れた教育方法を実施する。本科目は、実務経験のある教員が担当している。(コンピテンシー1、2、3、6、7、8(1、3))

ナンバリング
C1521-3B

1.一般目標(GIO:General Instructional Objective)
頭頸部・口腔領域の基本的な構造と機能を理解するとともに、歯質欠損に対する歯冠修復と歯列の一部あるいは全部欠損に対する修復の臨床的意義と方法を理解する。 

2.行動目標(SBOs:Specific Behavioral Objectives)
1)クラウンおよびブリッジの種類、特徴を説明する(5%)。
2)可撤性義歯の種類、目的および意義を説明する(5%)。
3)デンタルインプラントの種類、特徴、目的および意義を説明する(5%)。
4)歯の硬組織疾患の診察、検査および診断を説明する(5%)。
5)歯の欠損に伴う歯・口腔・顎顔面領域の変化に対して必要な診察、検査および診断を説明する(5%)。
6)歯科補綴計画を左右する因子を説明する(5%)。
7)補綴装置の要件を説明する(5%)。
8)歯列と咬合について説明する(10%)。
9)下顎位・下顎運動の記録法を説明する(5%)。
10)顎関節の構造と機能を説明する(5%)。
11)下顎の随意運動の基本を説明する(10%)。
12)フェイスボウトランスファーとチェックバイト法、および調節性咬合器の基本的操作を説明する(5%)。
13)咬合採得する下顎位と咬合採得法を説明する(5%)。
14)平均値咬合器および調節性咬合器の種類と特徴を説明する(5%)。
15)歯の欠損に伴う障害の種類と病態を説明する(5%)。
16)局部床義歯の特徴と適応症を説明する(5%)。
17)局部床義歯の支持機構、把持機構および維持機構を説明する(5%)。
18)局部床義歯の構成要素を説明する(5%)。

3.方略(LS:Learning Strategy)
1)受動的方法:講義
2)能動的方法:インタラクティブ・ティーチング、ポストテスト、ディスカッション
3)媒体:スライド、配布資料、教科書、参考図書

4.評価(Evaluation)(形成的評価・総括的評価)
1)期末試験(総括的評価):95%
講義内容の理解度を論述による記述試験で評価する。
2)平常点評価(総括的評価):5%
日常的な授業における取組状況を評価する。
3)確認テスト(形成的評価)
各回の授業において、前回の復習と学生の理解度把握のために行う。



事前・事後学修
事前学修:
第1回 教科書1)1-11ページ,教科書2)1-5ページを読んでおくこと(20分)
第2回 教科書1)99-113ページを読んでおくこと(20分)
第3回 教科書2)46-63ページを読んでおくこと(20分)
第4回 教科書2)30-63ページを読んでおくこと(20分)
第5回 教科書2)30-45ページを読んでおくこと(20分)
第6回 教科書2)64-91ページを読んでおくこと(20分)
第7回 教科書2)92-104ページを読んでおくこと(20分)
第8回 教科書2)92-104ページを読んでおくこと(20分)
第9回 教科書1)13-30ページを読んでおくこと(20分)
第10回 教科書1)31-38ページを読んでおくこと(20分)
第11回 教科書1)39-57ページを読んでおくこと(20分)
第12回 教科書1)59-79ページを読んでおくこと(20分)
第13回 教科書1)59-79ページを読んでおくこと(20分)

事後学修:
第1~13回 授業内容を再度見直し、重要なポイントをリストアップする(20分)

事前学修については当日の講義中にディスカッションで確認する。
事後学修については翌週の講義最初のポストテストで確認する。

オープンな教育リソース
 日本補綴歯科学会診療ガイドライン
 https://www.hotetsu.com/c_2006.html

【e-Learning】

教科書
1)藍 稔 他 編:スタンダードパーシャルデンチャー補綴学、学建書院
2)藍 稔 著:補綴臨床に必要な顎口腔の基礎知識、学建書院
3)山下秀一郎 他 編:有床義歯補綴学、永末書店


参考図書
1)矢谷博文 他 編:クラウン・ブリッジ補綴学(第5版)、医歯薬出版
2)三谷春保 他 編:歯学生のパーシャルデンチャー(第6版)、医歯薬出版
3)日本補綴歯科学会診療ガイドライン:
 https://www.hotetsu.com/c_2006.html


オフィスアワー
毎週火曜日・木曜日 17:30~18:30 
本館8F パーシャルデンチャー補綴学講座研究室
事前に予約すること

総授業コマ数
13コマ

出席について
授業開始時に出席をとる。
遅刻は認めない。
公共交通機関のトラブルによる場合は証明書を提出のこと。

   担当者  『 * 』は実務経験教員を示す
 山下 秀一郎 教授*, 田坂 彰規 准教授*

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月日 時限 コア・カリキュラム 方略(LS)場所 担当者
(その他の)SBOs
内容項目
1 10/5 1 E-3-4)-(1)-②クラウンブリッジの種類、特徴及び製作法(CAD
CAM
を含む)を説明できる。
E-3-4)-(2)-②可撤性義歯の種類、目的及び意義を説明できる。
E-3-4)-(3)-①口腔インプラントの種類、特徴、目的及び意義を説明できる。
 
スライド・配布資料を用いた講義  新館・第1講義室  山下 秀一郎
SBOs-1)クラウンおよびブリッジの種類、特徴を説明する。
SBOs-2)可撤性義歯の種類、目的および意義を説明する。
SBOs-3)デンタルインプラントの種類、特徴、目的および意義を説明する。 
補綴装置の概要
2 10/12 1 E-1-1)-①診察、検査及び診断に必要な事項を列挙できる。
E-1-1)-②診察、検査及び診断に必要な器材を説明できる。
E-1-1)-⑥診断に必要な検査を列挙できる。
E-1-1)-⑧インフォームド・コンセントを説明できる。
 
スライド・配布資料を用いた講義  新館・第1講義室  山下 秀一郎
SBOs-4)歯の硬組織疾患の診察、検査および診断を説明する。
SBOs-5)歯の欠損に伴う歯・口腔・顎顔面領域の変化に対して必要な診察、検査および診断を説明する。 
歯科補綴における診察と診断
3 10/19 1 E-3-4)-(2)-①歯の欠損、顎骨・顔面の欠損に伴う障害の種類と病態を説明できる。
 
スライド・配布資料を用いた講義  新館・第1講義室  山下 秀一郎
SBOs-6)歯科補綴計画を左右する因子を説明する。 
歯科補綴治療計画を左右する因子
4 10/26 1 E-3-4)-(1)-①クラウンブリッジの意義と具備条件を説明できる。
E-3-4)-(2)-②可撤性義歯の種類、目的及び意義を説明できる。
 
スライド・配布資料を用いた講義  新館・第1講義室  山下 秀一郎
SBOs-7)補綴装置の要件を説明する。 
補綴装置の要件
5 11/2 1 E-2-2)-④歯列と咬合を説明できる。
E-3-4)-(2)-⑦歯の欠損した歯列での下顎位・下顎運動の記録法を説明できる。
 
スライド・配布資料を用いた講義  新館・第1講義室  山下 秀一郎
SBOs-8)歯列と咬合について説明する。
SBOs-9)下顎位・下顎運動の記録法を説明する。  
下顎運動と下顎位1(基準平面、基準点、歯列の形態)
6 11/9 1 E-2-1)-⑥顎関節の構造と機能を説明できる。
E-2-1)-⑦下顎の随意運動と反射を説明できる。
E-3-4)-(2)-⑦歯の欠損した歯列での下顎位・下顎運動の記録法を説明できる。
 
スライド・配布資料を用いた講義  新館・第1講義室  山下 秀一郎
SBOs-9)下顎位・下顎運動の記録法を説明する。
SBOs-10)顎関節の構造と機能を説明する。
SBOs-11)下顎の随意運動の基本を説明する。
 
下顎運動と下顎位2(下顎位、下顎運動)
7 11/16 1 E-3-4)-(2)-⑦歯の欠損した歯列での下顎位・下顎運動の記録法を説明できる。
E-3-4)-(2)-⑧調節性咬合器の基本的操作方法、フェイスボウトランスファー、チェックバイト法を説明できる。
 
スライド・配布資料を用いた講義  新館・第1講義室  山下 秀一郎
SBOs-12)フェイスボウトランスファーとチェックバイト法、および調節性咬合器の基本的操作を説明する。
SBOs-13)咬合採得する下顎位と咬合採得法を説明する。
 
顎間関係の記録
8 11/30 1 E-3-4)-(1)-⑩平均値咬合器及び調節性咬合器の種類と特徴を説明できる。
E-3-4)-(2)-⑦歯の欠損した歯列での下顎位・下顎運動の記録法を説明できる。
 
スライド・配布資料を用いた講義  新館・第1講義室  山下 秀一郎
SBOs-9)下顎位・下顎運動の記録法を説明する。
SBOs-14)平均値咬合器および調節性咬合器の種類と特徴を説明する。
 
咬合器
9 12/7 1 E-3-4)-(2)-①歯の欠損、顎骨・顔面の欠損に伴う障害の種類と病態を説明できる。
 
スライド・配布資料を用いた講義  新館・第1講義室  山下 秀一郎
SBOs-15)歯の欠損に伴う障害の種類と病態を説明する。 
歯の欠損に由来する顎口腔系の変化
10 12/14 1 E-3-4)-(2)-①歯の欠損、顎骨・顔面の欠損に伴う障害の種類と病態を説明できる。
E-3-4)-(2)-②可撤性義歯の種類、目的及び意義を説明できる。
E-3-4)-(2)-③可撤性義歯の特徴と適応症を説明できる。
 
スライド・配布資料を用いた講義  新館・第1講義室  山下 秀一郎
SBOs-8)歯列と咬合について説明する。
SBOs-16)局部床義歯の特徴と適応症を説明する。 
歯の欠損様式と義歯の分類
11 1/11 1 E-3-4)-(2)-③可撤性義歯の特徴と適応症を説明できる。
E-3-4)-(2)-④可撤性義歯の要素構成と支持、把持、維持の機構を説明できる。
E-3-4)-(2)-⑤可撤性義歯の設計原則を説明できる。
 
スライド・配布資料を用いた講義  新館・第1講義室  山下 秀一郎
SBOs-17)局部床義歯の支持機構、把持機構および維持機構を説明する。
SBOs-18)局部床義歯の構成要素を説明する。 
局部床義歯に加わる力への対応
12 1/18 1 E-3-4)-(2)-④可撤性義歯の要素構成と支持、把持、維持の機構を説明できる。
E-3-4)-(2)-⑤可撤性義歯の設計原則を説明できる。
 
スライド・配布資料を用いた講義  新館・第1講義室  山下 秀一郎
SBOs-18)局部床義歯の構成要素を説明する。 
支台装置(クラスプ1)
13 1/25 1 E-3-4)-(2)-④可撤性義歯の要素構成と支持、把持、維持の機構を説明できる。
E-3-4)-(2)-⑤可撤性義歯の設計原則を説明できる。
 
スライド・配布資料を用いた講義  新館・第1講義室  山下 秀一郎
SBOs-18)局部床義歯の構成要素を説明する。 
支台装置(クラスプ2、他)、隣接面板

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