第 4 学 年  口腔外科学(実習) 《Bクラス》
後 期 計 画 表

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教科の特徴
【講義】
 我が国における口腔外科学は、その診療内容からみると欧米で呼称されている口腔・顎・顔面外科学に相当する。その守備範囲は歯および歯槽部における歯科外科から咬合、顎関節、顔面を対象とする顎顔面外科まで広範囲に及んでいる。したがって局所もさることながら、口腔外科は、歯、顎、口腔ならびにその隣接組織に現れる各種疾患を取り扱う科であり、歯学において全身状態との関係が最も重要視される領域である。そのため口腔外科学においては、歯学臨床系の関連学科のみならず、医学諸学科との接点を考慮する必要があり、医学と歯学との共同の領域のなかで、医師と歯科医師との協力が不可欠なものである。
 口腔外科領域には、炎症、嚢胞、腫瘍などの様々な病態をもった疾患から、唇顎口蓋裂、顎変形症などの先天性疾患まで、実に多くの疾病が存在する。口腔外科の治療に際しては、病巣を完全に摘出切除するという本来の手術の目的に加えて、形態を再建し失われた諸機能を回復して患者を社会復帰させることも、口腔外科手術の根本理念である。
 講義内容としては疾病の基本概念を基礎学と関連させながら正確に理解させるため口腔外科学総論、診断学ならびに手術学、さらには各論として奇形・発育異常、損傷、炎症、嚢胞、腫瘍、唾液腺疾患、神経疾患、顎関節疾患、心因性疾患、血液疾患、粘膜疾患そして症候群など数多くの疾病について講義される。本科目は、実務経験のある教員が担当している。
【実習】
頭頸部の診察、手指および術野の消毒の仕方について、講義で教育した内容を確認させるとともに実習を通してその実際を修得させる。さらに、抜歯の基本操作から切開処置および縫合処置までの抜歯術における一連の流れをマネキン実習により修得させる。消炎手術は実習書に付録添付した。本科目は、実務経験のある教員が担当している。

ナンバリング
C1603-4B

1.一般目標(GIO:General Instructional Objective)
【講義】
歯・顎・口腔・口唇ならびにその隣接組織に現れる先天性および後天性疾患に対して適切で安全な歯科医療を行うために、その原因・病理・症状・診断・治療法ならびに予後を理解する。さらに、それを行うための基本的技能を習得する。
【実習】
頭頸部の診察を行うための診査法の知識と技能を修得する。
歯科医療を安全に行うための消毒・滅菌の知識と技能を修得する。
抜歯術を行うための基本的な知識と技能を修得する。
創の縫合を行うための知識と技能を修得する。

2.行動目標(SBOs:Specific Behavioral Objectives)
【講義】
1)口腔・顎・顔面の臨床解剖を説明できる。
2)歯・顎・口腔・口唇ならびにその隣接組織に現れる先天性および後天性疾患を分類し、説明できる。
3)前述の疾患の病因・診断さらにそれに必要な検査法を説明できる。
4)上述の疾患に対する治療方針と予後の概略を説明できる。
5)診断・治療に必要な口腔外科の基本手技について説明できる。
【実習】
1)局部解剖を説明できる。
2)診察内容を説明できる。
3)顔色、顔面の対称性について診察することができる。
4)頭頸部の筋肉を触診することができる。
5)顎骨を触診することができる。
6)下顎頭運動を触診することができる。
7)頸部リンパ節を触診することができる。
8)双指診の種類を説明し実施することができる。
9)清潔・不潔の概念を説明できる。
10)手指、器具の消毒・滅菌法を列挙することができる。
11)術野の消毒法を列挙することができる。
12)手指の消毒を行うことができる。
13)滅菌グローブを装着することができる。
14)抜歯に用いる器具を列挙することができる。
15)抜歯に用いる器具を用途別に説明することができる。
16)抜歯部位別に患者の体位をとることができる
17)抜歯部位別に術者のポジションをとることができる。
18)抜歯挺子を正しく把持し抜歯ができる。
19)抜歯鉗子を正しく把持し抜歯ができる。
20)抜歯後の注意を列挙できる。
21)患者と良好なコミュニケーションをとりながら抜歯操作を行うことができる。
22)縫合法を列挙することができる。
23)縫合に用いる器具を列挙することができる。
24)縫合に用いる器具を用途別に分類することができる。
25)持針器を用いて器械結びができる。
26)手結びで縫合することができる。
27)替刃メスの着脱を安全にできる。

3.方略(LS:Learning Strategy)
【講義】
1)講義
2)ケースに対する討論
【実習】
1)講義
2)基礎実習
3)VTR学習

4.評価(Evaluation)(形成的評価・総括的評価)
【講義評価・70%】
1)定期試験(総括的評価):80%
講義内容の理解度を多肢選択式試験、記述試験で評価する。
2)平常点評価(総括的評価):20%
日常的な授業における取組状況を評価する。
【実習評価・30%】
1)実地試験
2)観察記録

事前・事後学修
【講義】
各回の授業内容項目について、教科書の該当部分を読んでおくこと。
【実習】
各回の実習内容項目について、実習書の該当部分を読んでおくこと。


教科書
【講義】
野間弘康、瀬戸皖一・監修 内山健志編集:「標準口腔外科学 第4版」医学書院
野間弘康、金子 譲・編:カラーアトラス「抜歯の臨床」医歯薬出版
内山健志、大関 悟、近藤壽郎、坂下英明・編:カラーアトラス「サクシンクト口腔外科学 第3版」学建書院
東京歯科大学口腔外科学講座・編:「口腔外科手術学プリント」
【実習】
東京歯科大学口腔外科学教室・編:「2020年度 口腔外科学基礎実習」

参考図書
【講義】
内山健志、大関 悟、近藤壽郎、坂下英明・編:カラーアトラス「サクシンクト口腔外科学 第3版」学建書院
野間弘康、道 健一、久野吉雄・編:「口腔外科の臨床」医歯薬出版
野間弘康、下野正基、山根源之・編:「口腔外科・病理診断アトラス」医歯薬出版
高橋庄二郎、内山健志ほか編:「顎顔面変形症の外科的矯正治療」三樹企画出版
高橋庄二郎:「口唇裂・口蓋裂の基礎と臨床」日本歯科評論社
高橋庄二郎、大谷隆俊、園山 昇・編:「図説 口腔外科手術学 上 、中、下巻」医歯薬出版
清水正嗣、小浜源郁・編:「口腔癌」デンタルダイヤモンド
【実習】
感染予防対策マニュアル 東京歯科大学水道橋病院
歯科臨床研修マニュアル起こりうる問題点と解決法 覚道健治、平井義人、前田芳信 編 永末書店
口腔外科手術学 高橋庄二郎、重松知寛、内山健志 東京歯科大学口腔外科学教室
臨床のレベルアップPointまずは60 椎木一雄 編 デンタルダイアモンド社
増補 消毒と滅菌のガイドライン 小林寛伊 編 へるす出版
歯科医療における感染予防対策と滅菌・消毒・洗浄 ICHG研究会 編医歯薬出版株式会社
カラー版殺菌・消毒マニュアル 都築正和 監 医歯薬出版株式会社
手術室基本知識 横野諭他 著 金芳堂
若い歯科医と研修医のための口腔外科はじめましょう 佐々木次郎 監 デンタルダイヤモンド社
カラーアトラス 抜歯の臨床 野間弘康 金子 譲 医歯薬出版株式会社
図説小外科テキスト 出月康夫 監 南山堂
形成外科基本手術手技の進歩 林浩一郎 編 MEDICAL VIEW
手術手技の基本とその勘どころ 関洲二 金原出版
口腔外科卒後研修マニュアル 成田令博他 編 財団法人口腔保健協会 
図説口腔外科手術学 高橋庄二郎他 編 医歯薬出版株式会社

オフィスアワー
【講義】
授業終了後:口腔顎顔面外科学講座・口腔病態外科学講座
【実習】
口腔外科学を参照

総授業コマ数
8コマ

出席について
原則として、欠席はしないこと。

   担当者  『 * 』は実務経験教員を示す
 片倉 朗 教授*, 髙野 正行 教授*, 渡邊 章 准教授*
 菅原 圭亮 准教授*, 大金 覚 准教授*, 笠原 清弘 准教授*
 吉田 秀児 講師*, 森川 貴迪 講師*, 大野 啓介 講師*
 山本 雅絵 講師*, 恩田 健志 講師*, 岩本 昌士 講師*
 成田 真人 講師*, 西山 明宏 講師*, 星野 照秀 助教*
 小谷地 雅秀 助教*, 重野 健一郎 助教*, 柴原 孝彦 客員教授*
 髙木 多加志 客員教授*, 山本 信治 客員教授, 加藤 宏 助教*
 小山 侑 助教*, 花上 健一 非常勤講師*, 黒田 雅仁 非常勤講師*
 栗原 由起夫 非常勤講師*, 中島 信也 非常勤講師*, 高野 直久 非常勤講師*
 北村 信隆 非常勤講師*, 鬼谷 信美 非常勤講師*, 木住野 義信 非常勤講師*
 吉岡 弘道 非常勤講師*, 小枝 弘実 非常勤講師*, 玉田 八束 非常勤講師*
 花井 淳一郎 非常勤講師*, 薬師寺 孝 臨床講師, 浜瀬 真紀 非常勤講師*
 村松 恭太郎 非常勤講師*, 別所 央城 非常勤講師*, 松崎 英雄 臨床准教授
 内田 育宏 非常勤講師*, 吉田 俊一 非常勤講師*, 吉村 元 非常勤講師*
 作間 巧 非常勤講師*, 髙山 裕樹 非常勤講師*, 森 泰昌 非常勤講師*
 高木 亮 非常勤講師*, 右田 雅士 臨床講師, 渡部 幸央 非常勤講師
 林 勝彦 非常勤講師*, 大山 定男 非常勤講師*, 伊藤 亜希 臨床講師
 佐々木 研一 臨床教授, 須賀 賢一郎 臨床講師, 大鶴 洋 非常勤講師*
 武田 栄三 非常勤講師*

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月日 時限 コア・カリキュラム 方略(LS)場所 担当者
(その他の)SBOs
内容項目
1 11/15 4,5 G-2-①
医療面接を実施し、患者と良好なコミュニケーションがとれる。
G-2-②
全身状態を評価し、顎顔面及び口腔内の診察ができる。
E-1-1)-①
診察、検査及び診断に必要な事項を列挙できる。
E-1-1)-②
診察、検査及び診断に必要な器材を説明できる。
E-1-1)-③
病歴聴取(主訴、現病歴、既往歴、家族歴、生活歴、社会歴・職業歴等)を説明できる。
E-1-1)-④
現症の取り方(視診、触診、打診、聴診等)を説明できる。
E-1-1)-⑤
診療室における患者の心理と行動を説明できる。
E-2-1)-①
頭頸部の体表と内臓の区分と特徴を説明できる。
E-2-1)-②
頭蓋骨の構成と構造を説明できる。
E-2-1)-③
咀嚼筋、表情筋及び前頸筋の構成と機能を説明できる。
E-1-5)-⑥
手指と術野の消毒法を説明できる。
E-1-5)-⑦
清潔と不潔の区別を説明できる。
 
実習  新館・第3実習講義室  全員
1.局所解剖を説明できる。
2.診査内容を説明できる。
3.顔色、顔面の対称性を診察できる。
4.頭頸部の筋肉を触診できる。
5.下顎下縁を触診できる。
6.眼窩下縁から外側縁を触診することができる。
7.頬骨弓を触診することができる。
9.下顎頭運動を触診することができる。
10.下顎切歯路と下顎頭運動との関係を説明できる。
11.頸部リンパ節とくに顎下リンパ節を触診することができる。
12.双指(手)診の種類を説明でき、実施することができる。
13.清潔・不潔の概念を説明することができる。
14.スタンダード・プリコーションを説明することができる。
15.手指の消毒を列挙することができる。
16.手指の消毒(手洗い)を行うことができる。
17.滅菌手袋の装着を行うことができる。
18.口腔内の術野の消毒法を列挙することができる。
19.口腔外の術野の消毒法を列挙することができる。
 
頭頸部の診察、消毒・滅菌の知識と技能
2 11/29 4,5 E-1-5)-④
粘膜の切開、剥離に必要な器具の用法を説明できる。
E-1-5)-⑤
縫合と止血に必要な器具の用法を説明できる。
 
実習  新館・第3実習講義室  全員
1. 縫合法を列挙することができる。
2. 縫合に用いる器具を列挙することができる。
3. 縫合に用いる器具を用途別に分類することができる。
4. 手結びで縫合することができる。
6. 持針器を用いて器械結びができる
 
基本的な縫合処置 
3 12/13 4,5 E-1-4)-(3)-⑤
局所麻酔の実施法と合併症(偶発症)を説明できる。
E-1-5)-①
抜歯の適応症と禁忌症(相対的禁忌への対応及び小手術の適応症と禁忌を含む)を説明できる。
E-1-5)-⑦
清潔と不潔の区別を説明できる。
E-1-5)-②
小手術の合併症(偶発症)を説明できる。
E-1-5)-③
小手術に必要な器具の用法と基本手技を説明できる。
 
実習  西棟5階実習室  全員
1.患者と良好なコミュニケーションをとりながら抜歯操作を行うことができる。
2.抜歯の適応症を列挙できる。
3.抜歯に用いる器具を列挙することができる。
4.抜歯に用いる器具を用途別に説明できる。
5.抜歯部位別に患者の体位をとることができる。
6.抜歯部位別に術者のポジションをとることができる。
7.抜歯鉗子を正しく把持し抜歯ができる。
8.抜歯挺子を正しく把持し抜歯ができる。
9.抜歯後の注意を列挙できる。
10.抜歯時および抜歯後の偶発症を列挙できる。
 
抜歯処置
4 1/10 4,5 F-2-2頭頸部の診察
F-6-1清潔操作を実施できる。
F-6-3外来手術のための手洗いと滅菌手袋の装着ができる。
F-6-2抜歯(小手術を含む)の器材の準備ができる。
F-6-6単純抜歯を実施できる。
F-6-7基本的な縫合操作、抜糸を実施できる。
 
実習  新館・第2実習講義室および西棟5階実習室、西棟3階シュミレーション室  全員
1.頭頸部の診察をすることができる。
2.抜歯に必要な器材を準備することができる。
3.衛生的手洗いをし、滅菌手袋の装着を行うことができる。
4.抜歯部位に正しく鉗子の把持と適合することができる。
5.創の縫合から抜糸までを正しく行うことができる。  
実習試験

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